Quantcast
Channel: gurimoeの内輪ネタ日記(準備中)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 8686

楽聖少女の感想レビュー(ライトノベル)

$
0
0
電撃文庫のラノベ、『楽聖少女』(杉井 光先生原作、岸田メル先生イラスト)の1巻が発売中です。
表紙はヒロインのルゥことルドヴィカ・ファン・ベートーヴェン。
伸び伸びと指揮を取る姿と美しい背景が幻想的で、今にも音楽が聴こえてきそうな雰囲気ですね。

お話的には、音楽一家に生まれたとはいえ、基本的には普通の高校生である主人公・ユキが、妖艶な美女の姿をした悪魔、メフィストフェレスの力によって200年前にタイムスリップさせられた上に、かの文豪・ゲーテとして生きて行かなければならなくなってしまったから、さあ大変。
なぜかユキの知っている歴史とは違っている部分がいくつもある過去のウィーンを舞台に戸惑いつつも、ゲーテとしての知識や記憶を頼りに生活をはじめるユキでしたが、ひょんな事から天才音楽家ベートヴェンの名を関する少女、ルドヴィカと出会ったことをキッカケにして、たくさんの有名音楽家と対面したり、事件に巻き込まれることに…という展開です。

ルゥの創り出す音楽に惹かれていくユキでしたが、とある理由のせいでそれを堪能する事は出来ないという設定がもどかしくも切なかったです。
ルゥはルゥでオリジナルのゲーテが発表していた作品のファンでもあったことから、なにかと理由をつけてはユキにまとわりついてくる様子がいじらしく、音楽への情熱を燃やしている時とはまた違った魅力が伝わって来るのが好印象でした。
生まれや才能、育った環境の違いもあって、最初はかなり価値観に違いのあるふたりが、音楽を守るという目的を通じて次第に心を重ねていく流れは感動的で、音楽に対する敬意や情熱がひしひしと伝わってきたのが胸熱でした。
ちなみに、作品を生み出すという意味では音楽も文芸も共通の苦しみや使命感があると思うのですが、ひょっとしたら杉井先生の創作に関する想いが、劇中のセリフでなぞらえられていたりする部分もあるのかも知れませんね。

美人でミステリアスながら、漫才で言うところのボケ担当でもあるメフィの存在が、適度にシリアスな雰囲気を強めてくれたり、逆に壊してくれたりするのも、上手く機能していたと思います。
サービスカット的な意味でもエロスエロス(;゚∀゚)=3ムッハーなメフィでしたが、いろんな意味で純粋培養なルゥの対極的な存在でもあるわけで、ある意味、本シリーズはルゥとメフィのダブルヒロイン的な作品であるとも言えるのではないかと。
いや、メフィの一番の望みを叶えてあげたら、むしろ美味しく頂かれてしまうわけですがw

絢爛豪華な王族関係者が登場する一方、風光明媚な療養地でのひとコマが綴られたりと、古き良きヨーロッパの息吹が感じられる描写の数々は、読者自身をタイムスリップや観光旅行をしている気持ちにさせてくれるのではないかと思います。
歴史上の人物や作品に関するトリビア的な豆知識もいくつか劇中で語られるのですが、それが丁度バスガイドさんの説明のように感じられたりw
自分もウィーンに旅行に行ったり…は予算的に厳しいので、せめて作品で使われた楽曲をレンタルしたりしようかなと。

劇中のクライマックスイベントである演奏会については、一致団結して音楽を守ろうとする人々の姿がとても生き生きとエネルギッシュに描かれていたのが印象的でした。
悪魔やファンタジー系の力が関与している分、史実よりもかなり誇張されている部分があったり、なぜか異能バトルっぽい展開になっていたりするシーンもありましたが、それが独特の味になっていたので面白かったです。
というか、ハイドン師匠のキャラ立ち過ぎw
あと、余談ながらパガニーニの最終形態を、メル先生のコスプレで見たいなと思ったのは自分だけでしょうかw

ただ、オチについては、伏線で匂わされていた分と、ゲーテを題材に取り入れたこと、ユキ自身の説明もあってああなるほどそういう事だったのか〜!と仕組み理解は出来たのですが、それでなぜユキに白羽の矢が立ったのか、個人的には疑問が残りました。
いや、音楽に詳しかったのと名前が適切だったのはわかるのですが、それなら同じ名前の他の人でも良かったんじゃないかな〜と思ってしまったというか。
自分がヒントを見逃しているだけかも知れませんし、他にも謎自体が色々と残されているので、それを解き明かす過程の新事実で掘り下がっていくのかもしれませんから、次巻以降はその辺りに注目したいと思います。
というか、某人物とのラストでのやり取りが涙腺崩壊すぎて、涙で前が見えねぇ(´;ω;`)ブワッ
あのくだりを読めただけで十分以上に元がとれた気がするので、読後の満足度は非常に高かったです。


気になった方は是非チェックなさってみて下さいませ。



電撃文庫&電撃文庫MAGAZINE公式サイトはこちらから

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

blogram投票ボタン




Viewing all articles
Browse latest Browse all 8686

Trending Articles