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スイート☆ライン5巻の感想レビュー(ライトノベル完結巻)

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電撃文庫のラノベ、『スイート☆ライン5 メモリアル卒業編』(有沢まみず先生原作、如月水先生イラスト)が発売中です。
表紙は正午と永遠のご両人。
やはり本シリーズと言えばこのふたりというわけで、ラストを飾るに相応しい睦まじさが(・∀・)ニヤニヤですね。

お話的には、永遠達5人の声優ユニットがいよいよファンの前に初お披露目!というイベントの日に、思いもよらぬアクシデントが重なってしまい…という波乱の展開です。
大雑把に言えば、冒頭に大ピンチの様子がまず描かれ、その日に至るまでのヒロイン達の様子が描かれる前半と、イベントで致命的なダメージを受けたどん底から、正午が走り回ってなんとか状況をひっくり返そうと奔走する後半とに分かれています。

個人的には、最終回ですし、色々ありつつも成長したヒロイン達が正午を中心に結束、ここから彼女達の伝説が幕を開けるんだ!!的ラストを迎えるのではないかなと予想していたのですが、そんな生易しい甘々展開からはかなり離れたシリアスハード展開がメインだったので驚かされました。
ある意味、ラノベのセオリー的なものから外れていたと言っても良いと思います。

ぶっちゃけ、今回ヒロイン達を襲うアクシデントの原因については、彼女達自身の意思でどうこう出来る類のものではなかった部分が大きいですし、かなり理不尽で酷な状況が重なりまくっていたと思います。
それでも、プロの声優としてファンやスタッフ達の期待を背負う立場としては、たとえどんな逆境でも前に進み続けなければならないわけで、そこで彼女達のプロ根性が試されるという流れには説得力があったかと。

プロとして仕事をしているヒロインズに対して、一介の学生である正午がアドバイスするというのは構図的にどうなの?と、普通ならなるところですが、それが出来るだけ実績を積み重ね、信頼を勝ち取ってきたのが正午というキャラクターなわけですし、彼自身の持つ天性の応援&プロデュースに関する才能については、前巻まででも十分に語られてきたところかと。
今巻での豊国さんとのサシでの話し合いも、それを保証付けるものだったとも思います。

ぶっちゃけ、豊国さんという大きすぎる後ろ盾を得られたこと自体はファンタジーというか、少し都合が良すぎる部分もあったわけですが、今回正午がとった行動の数々については、ひとりで全部やり遂げるのは難しくはあるものの、ちゃんと地に足がついた対処法だったと思いますし、入念に準備や根回しをして最良の結果を得るという極めて正攻法な解決策であったことを評価したいですね。
「人事を尽くして天命を待つ」から更に一歩踏み込むような形で介入を繰り返していく様子が胸熱でしたし、恋愛感情云々とはかけ離れたところで、彼にしか出来ない役割を果たしていく姿に、気高さや矜持、揺るがない信念を感じることが出来たので良かったです。

正直、声優界を舞台にしたラブコメものとして読み始めたシリーズなので、ここまで正午メインな展開になるとは予想外でしたし、声優ユニット結成でここから新しいステージが始まる!というタイミングで完結というのは、一読者としてはとても残念ではあるのですが、今までの設定的な伏線をある程度解消しつつ、4巻&5巻でここまで綺麗に締めた有沢先生の手腕はとても見事なものだったと思います。
というか、シリーズ途中からはラノベというよりも「職場での実践も含んだ自己の能力発見&啓発書」的な内容になっていた気がするのですが、それが却ってオリジナリティと説得力を高めていた部分もあったかなと。
この辺りは、入念な取材から着想を得られた部分もあるのかも知れませんし、ご自身の創作活動に対する想いが反映されているのかも知れませんね。

はるか、舞、千秋それぞれが抱えていた問題については、それぞれ1冊分のエピソードとして引き伸ばして描き出すことも出来たのではないかと思いましたが、ラブコメ要素は極力切りつつも、公平にユニットの一員として接する正午のストイックさはとても真摯で好感が持てました。
というかフラグ建築士ではあるものの、ハーレムは建てずに適切な距離で踏み止まり続ける正午さん、マジハンパネェっすw

終盤に近付くに連れてセリフや掛け合いがカットされ、状況と結果を端的に描写した地の文がメインになっていく構成は、これまたラノベとしては異端というか、かなり思い切った演出だなぁと驚かされましたが、正午自身の視点でありながら神視点でもある語り口なので、彼の行動がどういう思惑のものであったかという事や、それが導き出した影響については、誤解のしようがないぐらい明瞭なものになっていたと思います。

正午自身が最後に選んだ道については、接点が無かったわけではないものの、声優を扱った本シリーズとは思えない意外さがありましたし、ラブコメ的なオチについても、あれ?あの娘とくっついて大団円じゃないの!?と焦ってしまいましたが、正午自身が貪欲なまでに自分の進みたい道を見つけ、邁進していく姿はワイルドで格好良く、彼を主人公にした物語の締めとしてはとても相応しいものになったかと。
というか、豊国さん超かっこいい!→未来の豊国さんになりそうな正午マジかっけぇ!みたいなイメージw

最後になりましたが、両先生ともシリーズ完結おめでとうございます&素敵な作品をありがとうございました。
次回作が読める日を楽しみにしております。


気になった方は是非、チェックなさってみて下さいませ。

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