電撃文庫のラノベ、『勇者には勝てない』(来田志郎先生原作、refeia先生イラスト)が発売中です。
第18回電撃小説大賞の銀賞受賞作品ということで、チェックされていた方も多いのではないかと思います。
表紙はメインヒロインの菅田さん(元勇者)と、茉那(元魔王)のコンビ。
見るからに優しげな菅田さんと、どことなくキツそうな視線の茉那がそれぞれ「らしい」感じですね。
お話的には、元魔王軍の三魔将のひとりだった鉄次郎が、力はほとんど失いつつも前世の記憶を持ったまま転生→至って普通の高校生として生活しているところへ元勇者である菅田さんが転校してきて…というボーイ・ミーツ・ガール展開です。
鉄次郎以外のふたりの魔将(関西弁キャラの源治&マザコンイケメンの克昭)も転生しており、絶対に勝てない予想外の天敵再来にまずは土下座で許してもらおうと奔走する序盤、元上司である魔王の茉那と対面する中盤、元勇者の恋人である君島さんの出現によって波乱の展開を迎える終盤といった構成になっていますが、基本的には鉄次郎達元三魔将の掛け合いが見所のギャグ作品と考えて良いかと。
てっきり、元魔族の主人公が元勇者に惚れてしまって…みたいなラブコメを想像していたので驚きましたw
こちらの世界に転生したと言っても、元の力が無くなっている&人間として生活している間に倫理面も人間的なものになったおかげで、驚くほど世界に優しい思考パターンの持ち主になってしまった鉄次郎達が(・∀・)ニヤニヤでした。
僅かに残った能力を駆使すれば、色々と目立つポジションで活躍出来そうな気がしましたが、あくまで地味に平和に男子高校生としての日常を送っていこうという人生設計は、前世とのギャップがシュール過ぎるw
一方、魔族の苦手な光の波動を恒常的に放つ体質ではあるものの、前世の記憶は全く失っている状態の菅田さんは、いつ彼女が覚醒するかと気が気でない鉄次郎たちの思惑もどこ吹く風のマイペースっぷりでしたが、純粋に良い人&人を疑うことを知らない性格が可愛かったです。
いわゆる、天然記念物級の善人キャラというのは、最近のラノベ業界でも結構貴重かもw
最初は、「前世の記憶を思い出した菅田さんに、自分が殺されたくないから」という保身的な動機で行動していた鉄次郎達が、彼女の人となりや、置かれている状況を知っていくうちに、「彼女が彼女であり続けられるように、前世の記憶を戻さずにすませよう」として行動するようになるという、青春友情モノとしての要素には心温まりました。
ファンタジー部分の設定が特殊ではありますが、仲間のためなら体も張るぜ!的な王道さは、テーマとしてわかりやすく、感情移入しやすかったと思います。
茉那の登場によって物語的な目標が明確に掘り下がるので、君島さんの登場後の展開は予想が付きやすいと思いますが、鉄次郎達が必死になって残された能力を活用&難関を突破していく様子は感動的でした。
特に、クライマックスでの鉄次郎の口上セリフや、やり取りには重みがあって、思わず目頭が熱くなりました。
オチが綺麗についていたのも読み物として好印象だったかと。
ただ、鉄次郎自身は恋心はおろか下心もほとんどない&菅田さんも三魔将に十分心を開いているけど特に愛情と呼べるほどのものは無く、モヤッとしてしまうものがあったのも事実。
個人的には、菅田さん及び自分達の身の安全を守るためにアレコレと動いていた鉄次郎の行動が、それとは意識せずにフラグを立てていて…という伏線なのかと思って読み進めていたので、あっさりし過ぎに感じられたのが残念です。
なんでもかんでもラブコメにすればいいというものではないとはいえ、せっかくの萌え系イラスト&美少女キャラなので、そっち方面の需要もあったのではないかなと思うとMOTTAINAI!
作品の発想や方向性には斬新さがありましたし、テンポの良い掛け合いと読みやすさについては納得の受賞だと思うので、2巻以降での関係性の変化に期待したいところです。
気になった方は是非、チェックなさってみて下さいませ。
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第18回電撃小説大賞の銀賞受賞作品ということで、チェックされていた方も多いのではないかと思います。
表紙はメインヒロインの菅田さん(元勇者)と、茉那(元魔王)のコンビ。
見るからに優しげな菅田さんと、どことなくキツそうな視線の茉那がそれぞれ「らしい」感じですね。
お話的には、元魔王軍の三魔将のひとりだった鉄次郎が、力はほとんど失いつつも前世の記憶を持ったまま転生→至って普通の高校生として生活しているところへ元勇者である菅田さんが転校してきて…というボーイ・ミーツ・ガール展開です。
鉄次郎以外のふたりの魔将(関西弁キャラの源治&マザコンイケメンの克昭)も転生しており、絶対に勝てない予想外の天敵再来にまずは土下座で許してもらおうと奔走する序盤、元上司である魔王の茉那と対面する中盤、元勇者の恋人である君島さんの出現によって波乱の展開を迎える終盤といった構成になっていますが、基本的には鉄次郎達元三魔将の掛け合いが見所のギャグ作品と考えて良いかと。
てっきり、元魔族の主人公が元勇者に惚れてしまって…みたいなラブコメを想像していたので驚きましたw
こちらの世界に転生したと言っても、元の力が無くなっている&人間として生活している間に倫理面も人間的なものになったおかげで、驚くほど世界に優しい思考パターンの持ち主になってしまった鉄次郎達が(・∀・)ニヤニヤでした。
僅かに残った能力を駆使すれば、色々と目立つポジションで活躍出来そうな気がしましたが、あくまで地味に平和に男子高校生としての日常を送っていこうという人生設計は、前世とのギャップがシュール過ぎるw
一方、魔族の苦手な光の波動を恒常的に放つ体質ではあるものの、前世の記憶は全く失っている状態の菅田さんは、いつ彼女が覚醒するかと気が気でない鉄次郎たちの思惑もどこ吹く風のマイペースっぷりでしたが、純粋に良い人&人を疑うことを知らない性格が可愛かったです。
いわゆる、天然記念物級の善人キャラというのは、最近のラノベ業界でも結構貴重かもw
最初は、「前世の記憶を思い出した菅田さんに、自分が殺されたくないから」という保身的な動機で行動していた鉄次郎達が、彼女の人となりや、置かれている状況を知っていくうちに、「彼女が彼女であり続けられるように、前世の記憶を戻さずにすませよう」として行動するようになるという、青春友情モノとしての要素には心温まりました。
ファンタジー部分の設定が特殊ではありますが、仲間のためなら体も張るぜ!的な王道さは、テーマとしてわかりやすく、感情移入しやすかったと思います。
茉那の登場によって物語的な目標が明確に掘り下がるので、君島さんの登場後の展開は予想が付きやすいと思いますが、鉄次郎達が必死になって残された能力を活用&難関を突破していく様子は感動的でした。
特に、クライマックスでの鉄次郎の口上セリフや、やり取りには重みがあって、思わず目頭が熱くなりました。
オチが綺麗についていたのも読み物として好印象だったかと。
ただ、鉄次郎自身は恋心はおろか下心もほとんどない&菅田さんも三魔将に十分心を開いているけど特に愛情と呼べるほどのものは無く、モヤッとしてしまうものがあったのも事実。
個人的には、菅田さん及び自分達の身の安全を守るためにアレコレと動いていた鉄次郎の行動が、それとは意識せずにフラグを立てていて…という伏線なのかと思って読み進めていたので、あっさりし過ぎに感じられたのが残念です。
なんでもかんでもラブコメにすればいいというものではないとはいえ、せっかくの萌え系イラスト&美少女キャラなので、そっち方面の需要もあったのではないかなと思うとMOTTAINAI!
作品の発想や方向性には斬新さがありましたし、テンポの良い掛け合いと読みやすさについては納得の受賞だと思うので、2巻以降での関係性の変化に期待したいところです。
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