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Channel: gurimoeの内輪ネタ日記(準備中)
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『誰よりも優しいあなたのために』の感想レビュー(ライトノベル)

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一迅社文庫のラノベ、『誰よりも優しいあなたのために』(あきさか あさひ先生原作、だいん先生イラスト)が発売中です。
表紙は、主人公のメイと相棒のみまりのヒロインコンビ。
とても仲が良さそうな雰囲気と距離感に、自然と心が温まってくる感じがしますね。
優しくて柔らかな色彩が作品とマッチしていて、そこはかとなく百合っぽさを感じさせてくれるのも好印象♪

お話的には、生まれた時から研究施設で被験体として生活していたメイが、初めて触れあう研究員以外の人間たちとの共同生活での様々な出会いや体験を通じ、人間らしく成長していく様子が、本人の視点で丁寧に綴られていく展開です。
その実験というのが、地球を壊滅的な状況に追いやった宇宙生物と戦う人類側の巨大ロボット兵器「サイコドライブ・ギア」のパイロットに関する実験であったというのが大きなポイント。
「本文を読む前にあまりあらすじを読まない派」な自分は、表紙やタイトルのイメージから、てっきり普通の家族ものや日常生活ものかと思い込んでいたので、カラー口絵に描かれたギアのイラストを見て驚かされました。
ロボットだけでもテンション上がるのに、人類最後の希望的兵器ポジション×美少女エリートパイロットの要素まで加わるとなれば、これは確かに盛り上がる!o<>∀・)☆という感じですね。
裏表紙か帯あたりにギアかパイロットスーツ姿のふたりが入っていれば、こっち方面が好きな読者にもアピールできた気がw

世界観については、冒頭からこまめに解説&掘り下げが繰り返されていますし、宇宙生物の正体自体がかなりの鍵となってくる作りでもあるので説得力が高かったです。
読者に状況をしっかり把握させた上で、メイ達が何をどの様に考えてそう行動しようと決意したのかが判断できるように配慮されているのが好印象でした。
また、肝となるクライマックスのオチ部分についても、伏線自体はシンプルながら「ああ、実はそれとなく何度も仄めかされていたのか!」とあとで気付いて目からウロコタイプのものだったのでとてもしっくり来ました。

メイが十七小隊のメンバーと仲良くなればなるほど、彼らを守りたいという意識が強まったことと、彼女自身に振りかかるとある事情のせいで、明らかに読者に彼女の自己犠牲を意識させる要素が山積みになってくるので、「メイ頑張りすぎ!死亡フラグ立て過ぎ!」だとハラハラさせられたのは自分だけではないはず。
そういう意味では、主人公と言うよりはいかにも悲劇のヒロイン然とした印象を受けたわけですが、かけがえのない存在となったみまりを守るために命がけで行動する姿はヒーロー的でもあり、そこが百合的なふたりの関係性とうまい具合にハマっていたと思います。

もっとも、百合的といっても実際に恋愛感情がメインだったり、過剰なお色気要素がメインだったりするわけではない(といいつつ、お風呂シーンとかベッドシーンとか可愛いので(・∀・)ニヤニヤしてた私が通りますよっと♪)ので、あくまで清純なイメージのプラトニック感が心地良かったですね。
実際、同世代の人間と初めて接する状況だったわけで、相手が男だから、女だからといったくくりで見ていたのではなく、たまたまみまりが女の子だった、というニュアンスが近いかと。
ジャンル的にはもっと大きな家族愛がテーマといったほうがしっくりくるかと思います。
ガール・ミーツ・ガールに留まらない、ガール・ミーツ・ファミリーズ的な雰囲気が強く感じられて良かったです。

エピソードとしては単巻完結ものとして綺麗にまとまっていると思いますが、敵の秘密と大本営の暗躍っぷりといった部分はまだまだ謎だらけなので掘り下げて行けそうですね。
今巻のメイは、おそらく人類史上でも最強のパイロットだった分、危なげ無くサクサクと処理する感じのバトルが多く、それがエリートっぽさを感じさせる持ち味になっていましたが、設定から考えれば、他部隊では血で血を洗う様な戦いや悲劇が繰り広げられて来たでしょうし、逆に民間人の居住区ではどんな生活が営まれていたのかなど、違った角度、人物達の視点から劇中の世界を描くことも出来そうな気がしますね。

また、メイが初めて出会った十七小隊の面々のお陰で、無味乾燥な被験体としての人生ではなく、意味のある人生を送れるようになったことから、彼らのことを大切に想う様になったという流れが丁寧に綴られていたのと比べると、みまり以外の十七小隊のメンバーが非常にすんなりとメイを受け入れることが出来た理由がやや弱く感じられた気もしました。
エースパイロットとして人類初の快挙を成し遂げた事に対して賞賛している&一緒に暮らすうちにより仲良くなっていったことは間違い無いと思いますが、その前の歓迎会の段階でも特にやっかんだり才能を疑問視して反目したりせず超歓迎ムードだったので、元々とてもいい人達で良かったね、というイメージの方が強かったかも。
その要素を入れても本作の作風からは浮いてしまいますし、人間関係についての経験がほとんどないメイにそれを強いるのも酷でしょうから、モブキャラ陣についてはあえて簡略化されたのかなとも考えていますが、今巻の事件を終えて成長したメイならば、より複雑な感情に対処することも出来るかと思いますし、続巻ではその辺りにも期待したいです。


気になった方は、是非チェックなさってみてくださいませ。

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